一ノ瀬さん家の家庭事情。

「真…」

「し、真ちゃん…」

睨み合ったまま、動かない真兄と優兄。

こんな二人、初めて見た。

一卵性双生児の双子だけあって、外見はそっくりな二人。

なのに中身は昔からまるで正反対。

やんちゃで意地悪、体を動かすことが好きな真兄。

優しくて穏やか、部屋で本を読んだりするのが好きな優兄。

それでも二人の仲は良かった。

お互いがお互いを必要としてるって感じが妹のあたしから見ても伝わってくる。

喧嘩だってしてるのを見たことがなかった。

そんな二人が、こんなふうに睨み合ってる。

もしかして、これって修羅場っていうやつ？

みいちゃんを巡ってバトル勃発！？

だったらあたし、今ものすごくお邪魔な存在なんじゃ…

「し、失礼しましたー…」

三人の後ろをそーっと通り抜けて、なんとか家の中へ。

リビングに入ると玲とりっちゃんがすでにテーブルについていた。

「愛！遅いから心配したぞ！ちゃんと連絡しなさい！」