一ノ瀬さん家の家庭事情。
二段ベッドの上で寝るのはなんだか新鮮。

天井が近いことに慣れていないから。

だけどそれよりも下の段にいる優兄のことが気になっちゃって眠れないよ。

「ゆ、優兄?」

思い切って話しかけてみる。

「ん?」

その返事はいつもどおり優しくて。

さっきの真兄との言い争いの中で優兄はいつも我慢してばかりだって言っていた。

優しくて、穏やかで、平和主義。

本当にあたしたちは優兄に甘えてばかりで、色々我慢させてきてしまったのかもしれない。

「ごめんね、いつも迷惑かけて。優兄に我慢してもらってたこと、気づけなくて。」

優兄の優しさに甘えてた。

「ううん、あれは嘘。俺、我慢なんてしてないよ。」

「え?でも…」

起き上がると優兄ははしごを半分登ってきた。

「ごめんな、心配かけて。でも大丈夫だから。俺と真は双子なんだから、喧嘩はしても縁は切れない。もし真がそう言ってきても、俺は絶対に真と縁を切りたくないからね。」
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