一ノ瀬さん家の家庭事情。
ミスコンは明日の午後から。

バスケ部からは三人も出るから、ちゃんとシフトを空けてもらったんだ。

「…一ノ瀬は、寺嶋とまわるの?」

「うん、でも明日はほのちゃん朝から忙しいみたいだし、それにあたしも実行委員の仕事があるんだ。」

文化祭実行委員は後夜祭の準備をしたりしなきゃいけないから、何気に忙しいんだよね。

「そっか…」

そんなことを話しつつ、家庭科室に到着。

「ありがとう、助かったよ!」

「いえいえ、役に立ててよかった。」

そう言って笑う浅丘君は本物の執事みたい。

「…なあ、一ノ瀬。」

「なあに?」

浅丘君があたしを見てる。

それだけでまるで早鐘をつくように心臓の音が大きく、早くなっていくのが自分でもわかる。

「明日さ、よかったらバスケ部のみんなで葉たちの応援しない?ほら、キャプテンも出るし。」

「うん!そうだね!中川先輩の応援もしなきゃね。」

少しホッとしつつ、でも残念に思ってる自分もいる。



< 194 / 391 >

この作品をシェア

pagetop