一ノ瀬さん家の家庭事情。
そして大和先輩がステージから客席に降りていく。

みんなが見守る中、大和先輩が辿り付いたのは、客席のあたしたちの席のちょうど前辺り。

「俺の彼女は、こいつです。」

そう言うと、一人の女の子手をつないで、体育館から出て行ってしまった。

みんなはあまりの突然のことにあっけにとられてしまっている。

「今の女の子、誰!?」

「すみれが丘の制服着てなかった!?」

なんだか少女マンガの出来事みたい…!

さすが、学年一のモテモテな大和先輩はやることが違うや。

「それでは生徒の皆さん、このあとは後夜祭です。速やかに準備にとりかかりましょう。」

楽しかった文化祭の二日間ももうすぐ終わり。

なんだかいろいろあったけど、楽しかったな。

欲を言えばもう少し浅丘君と話せたら良かったのに。

そんなことを思いつつ、隣にいる浅丘君の横顔をちらりと盗み見。

「一ノ瀬、」

「はっ、はい!?」

急にこちらを向いた浅丘君。
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