一ノ瀬さん家の家庭事情。
口を塞がれる。

にしても、まさかほのちゃんまでこんな悪魔の毒牙にかかってるとは!

「あれ、昨日マネージャー志望で来てたよね?」

真兄がほのちゃんに気がついた。

「はい!寺嶋帆華です!」

「そっか、愛のこと、よろしくな!」

にっこり笑うその姿は、まさに爽やかで好青年そのもの。

裏の顔がまるで嘘みたいに。

ほのちゃん!

騙されないで!そいつは悪魔!

「じゃあ行くぞ!」

真兄の笑顔にメロメロな様子のほのちゃんを横目で見つつ、あたしは仕方なくついていく。

体育館に入ると、バスケットボールが床に跳ねる音とシューズと床が擦れる音がした。

あ、浅丘君だ!

すごい、うまいんだなぁ。

シュート決めた!やった!

「愛?どうしたの?」

「浅丘君って、バスケうまいんだね!」

するとほのちゃんはニヤッとした顔をした。

「愛、浅丘はね、今彼女とかいないよ!しかも多分まだ誰とも付き合ったことないはず!モテてたけど!

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