一ノ瀬さん家の家庭事情。
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それから中間テストが終わり、いよいよ部活が再開した。

なんだか体育館に行くのが緊張しちゃう。

「愛ー、部活行こう!」

ほのちゃんに言われて、かばんを肩にかける。

普通に、友達で。

自分に言い聞かせる。

大丈夫、愛、やれるから。

体育館に入るともうすでに部員の何人かは練習を始めていて。

その中には久住君、真兄、それから浅丘君もいた。

目で自然に浅丘君を追っちゃう。

ダメなのに、諦めなきゃ、ダメなのに。

「愛?やっぱり聡太と何かあったでしょ。」

更衣室に入るとほのちゃんが言った。

やっぱり、ほのちゃんにはうそはつけない。

それに今まで色々助けてもらってたんだから、ちゃんと言ったほうがいいよね。

「ほのちゃん、あたしね、浅丘君のこと、もういいんだ。」

嘘だ。

あたしは大嘘つき。

「諦めるってこと?」

あたしはゆっくりと頷く。

「愛は本当にそれでいいの?」
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