一ノ瀬さん家の家庭事情。

「そっか。葉はあの二人のこと、大好きだもんね。」

思い出したようにくすっと笑うほのちゃん。

「あの二人は本当にいいコンビだった。パスの出し方も、シュートの決めるタイミングも抜群に合ってて。それで三年生になったとき、聡太はキャプテン、優大は副キャプテンになったの。」

浅丘君がキャプテンをしていたってことは聞いたことがある。

今もクラスの中心にいて、人脈もあつい浅丘君のことだから、きっと抜擢されたんだろうな。

「それで、抜群のコンビネーションのおかげであたしたちの中学は県大会をどんどん勝ち上がっていったの。それでいよいよ、次勝てば決勝っていう試合の前…」

ほのちゃんは言いにくそうに顔をしかめた。

「優大が相手の学校の選手を殴って、試合はできなかった。」

…うそ、久住君が！？

たしかに久住君は怖いけど、そんなことするような人じゃない。

まだ関わり始めて日の浅いあたしが言うのもおこがましいけど、すごくすごく本当は優しい。