一ノ瀬さん家の家庭事情。

ほのちゃんはあたしの両手をぎゅっと握った。

「聡太と優大はね、きっと前みたいに仲良くしたいはずなの。だから、その架け橋になれるのは愛だけだよ。だから二人を、お願いね。」

ほのちゃんは最後にそう言って、あたしは一人で家に帰った。

一人で歩きながら考える。

浅丘君に信じてもらえなくて、傷ついた久住君。

久住君を信じることができなくて、傷ついた浅丘君。

お互い、ちゃんと想い合ってる。

それを素直に伝えられれば、きっと前みたいに戻れるはず。

そのために、あたしは何をしてあげられるの？

あたしに何かできることがあるのかな？

「あ、」

「うわっ！」

ドンッと誰かにぶつかり、前を見るとそこには玲。

「律兄が遅いって怒ってたよ。」

またか…

携帯に一応メールしてたんだけど、やっぱりダメだったか…

「玲はどこに行くの？」

「コンビニ。美味しいアイスが出たから食べろって綾瀬がうるさいから買いに行く。」