一ノ瀬さん家の家庭事情。
「なに?」

聞き返すと玲は自分の髪の毛をクシャッと掻きむしった。

「あー、もう、だから…!綾瀬!はるひ!」

やっぱり!ビンゴだ!

あの玲がたった一人だけフルネームで覚えている女の子。

綾瀬はるひちゃん。

やっぱり玲が好きなのは、はるひちゃん。

これで確信した!

「別に、同じ委員会だし、出席番号が近いから席も隣だし…それにあいつ、毎朝うるさく挨拶してきて、嫌でも記憶された。」

こんなに照れてる玲を見たの、初めてかも。

「玲は彼女とかほしいって思わないの?」

「別に。」

こんな冷めてる奴のはるひちゃん、どこがいいのかな。

「そういう愛は最近どうなの?夏休みのあいつ。」

玲の言ってるあいつ、それはきっと浅丘君のこと。

「どうって、なにも…」

だって告白もできないかもしれない。

「へえ、まあどうでもいいけど。でもくっついてくんないと、困るんだよね。」

へ?
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