一ノ瀬さん家の家庭事情。
浅丘君はきっと誰よりも責任感が強いから。

久住君だってきっとそれをわかってる。

「浅丘君も、きっと久住君のこと、気にしてるよ。だから…」

「うん、ちゃんと話す。」

そう言って笑った久住君はなにか吹っ切れたような顔をしていた。

「一ノ瀬、いろいろありがとな。」

そんな…あたしなんて何もしていない。

「それから、俺、…」

「どうしたの?」

久住君が一歩、あたしに近づいた。

心臓がドクンと鳴る。

「俺、お前のことが好きだから。」

…え…

ええっ!?

な、な、な、にを!?

「く、久住君…!?」

このお方は何をおっしゃってるのかしら…!?

「一ノ瀬がいなかったから、バスケ部に戻れてない。多分あのまま、ダメな俺だった。」

そしてあたしをもう一度まっすぐ見た。

その真剣な目が、冗談なんかじゃないってことを物語ってる。

「一ノ瀬の気持ちは、わかってる。困らせたいわけじゃないんだ。」
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