一ノ瀬さん家の家庭事情。
「あ!帰ってきた!もう、遅いよ!二人とも!」

「ほのちゃん、ごめんね!」

ほのちゃんたちはもうすでにカレーを作り始めていた。

「浅丘君っ、あたし野菜切るね!」

相変わらず積極的な樹里ちゃん。

みんなと同じジャージ姿なのに、髪に結んだラメ入りのシュシュとか、腕にさり気なくついてる華奢なブレスレットとか、そういうものが樹里ちゃんをキラキラ彩ってる。

あたしはというと、いつもの二つ結びにさっき転んだせいですこし汚れたジャージ。

膝にはどこの悪ガキですかって感じの絆創膏。

…頑張るって決めたけど、もう負けてるんじゃ…

仕方ない、薪でもくべてよう。

火のそばにしゃがみこんでポイポイ薪を投げていく。

「一ノ瀬、それ、俺がやるよ。」

「へ?」

そこには軍手をした手を差し出した浅丘君。

「あっ、でも…」

「こういうのは男の仕事。ほら、貸して?」

そう言うとあたしの手から薪をとって。
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