一ノ瀬さん家の家庭事情。
来なくさせたのは自分だけど。

「っくしゅ!」

体が冷えてきた。

なんだか寒気もする。

これはもしかして、何年ぶりかの風邪のひきはじめかな。

うちってかぜ対策だけにはりっちゃんがやたらうるさいから、ここ何年かは風邪とか病気とは無縁だったのに…

携帯で時計を確認するともうすぐ九時。

なんだかんだもう一時間もこんなところに一人でいたんだ。

なんて悲しいクリスマスイブ…

もう、帰ってもいいよね…

あたしは思い足取りで家路についた。

「ただいま…」

家に帰るとりっちゃんとひなのさんがケーキを食べていた。

「お、愛!おかえり!」

「愛ちゃん、ケーキ食べる?」

ひなのさんもりっちゃんも優しいけど、今はなんだか一人になりたい。

「ごめんなさい、疲れちゃったからお風呂入って寝るね。」

あたしはそう言うと一目散にお風呂場へ。

お湯をためながら考える。

これから、どうしよう。
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