一ノ瀬さん家の家庭事情。
体育館に滑りこむと、ギリギリセーフ!

なんとか間に合ったみたい。

「愛、おはよー。」

朝は少しだけテンションの低いほのちゃんはすでにジャージ姿。

あたしも急いで着替えて更衣室から出る。

「愛ちゃん!見てみて!」

更衣室の外には葉ちゃんがボールを指で立てて持っていた。

「これ、いつまで出来るかな。今最高記録更新中!」

「へえ!すごいね!」

あたし、絶対にできないよ!

指が痛くならないのかな。

「おい、そこのチビーズ!練習始めるぞ!」

チビーズって…

「なんか、真先輩に影響されてか知らないけど、キャプテンまで毒舌になってね?」

葉ちゃん、ごめんね…

やっぱり真兄の悪いウイルスは万永するんだね。

みんな、本当にごめんなさい。

「いやいや、そのドSなとこがいいんじゃん!」

ほのちゃんはボールを磨きながら、うっとりした顔でため息をついた。

「あの人はドSで済まされない域に達してるよ…」
< 28 / 391 >

この作品をシェア

pagetop