一ノ瀬さん家の家庭事情。
でも恋する乙女モードのほのちゃんにはなにを言っても聞こえない。

普段はしっかりもので、クールな美人なお姉さんってかんじのほのちゃんだけど、真兄の話をするときだけはすごく女の子になってて、かわいい。

まあ、あたしにはその話に共感できるところが何一つないのが欠点なんだけどね。


朝練が終わり、教室に入ると何やら教卓の前が混み合っていた。

なんだろう?

「何、あの人だかり?」

ほのちゃんが近くにいた男子に声をかける。

「あー、なんか、女子が写真持ってきたみたい。」

写真?

なんの写真だろう?

「きゃー!これ、かっこいい!」

「えー、こっちのほうがかっこいいよ!」

芸能人か誰かのスナップ写真とか?

「あ、ほのと愛!見てみて!これ!」

「めっちゃかっこいいでしょ!」

久実ちゃんがあたしの前につきだした、一枚の写真、そこに写っていたのは…

「玲!?」

相変わらずの眠そうな顔でボーッと机に頬杖をついてる、見慣れた玲。

< 29 / 391 >

この作品をシェア

pagetop