一ノ瀬さん家の家庭事情。
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「おはよ!元気だった?」

「宿題終わってないよー!」

ガヤガヤにぎやかな教室内。

今日からいよいよ一年生最後の学期、3学期がスタートです。

隣の席の浅丘君はまだ来ていない。

今日は、あたしから挨拶をするんだ。

それからもう一度、クリスマスの日のことを謝る!

まずはそれが目標!

「聡太!おはよー!」


入口付近でそんな声が聞こえ、思わず身体がビクッとなる。

落ち着いて、愛、平常心、平常心…

ガタ、と音がして。

よし、いけ!

「お、おはよう…!」

なんとか絞り出した声は裏返ってしまい、馬鹿みたいになっちゃった。

「おはよ、一ノ瀬。」

よ、よかった…

普通に挨拶してくれた…!

もうそれだけで、無視されなかっただけで感動だよ。

「あの、終業式の日は本当にごめんなさい…」

怖くて顔を合わせられないけど、言わなくちゃいけないことだから。

「あー…あれね。」

やっぱり、怒ってる?
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