一ノ瀬さん家の家庭事情。
あたしが思ってること…?

りっちゃんに、みんなに迷惑は掛けたくない。

あたしがいることで負担になっているなら、それは苦しいことだから。

…でも、それでも…

「…みんなと、一緒に暮らしたい…」

これが本心なんだ。

悪魔みたいで、うっとおしくて、勝手でうんざりすることもある。

本当の兄妹じゃない。

それでも、あたしはこの家でみんなと暮らしていきたい。

「…よかった…」

りっちゃんはガバッとあたしに抱きついた。

そして大きく息をついた。

「もし愛が出て行くって言ったらどうしようかってすげえ怖かった…」

「りっちゃん、あたしはここにいていいの?」

ずっと聞きたかったことを思い切って聞いてみる。

迷惑じゃないんだよね?

するとりっちゃんは更に強くあたしを抱きしめた。

「いいに決まってる!愛は俺の大切な、何よりも大切な宝物だ!」

みんなと本当の兄妹じゃないことがわかった日、りっちゃんは同じことをいってくれたっけ。
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