一ノ瀬さん家の家庭事情。
あたしって馬鹿だな。

だってみんなこと、こんなふうに疑って。

血のつながりなんて関係ない、あたしたちは家族なのに。

「俺はたしかにまだ未成年だし、大学にも通ってる。だけど家族のためにいろいろ長男としてやるのは当たり前のことだ!全然負担なんて思わない!むしろ嬉しいくらいだ。」

りっちゃんはそう言って笑った。

「ていうか、なんなの?急に出てきて愛を引き取りたいとか、いい度胸してんじゃん。愛はとっくに俺達のものだっつうの。」

「愛がいなくなるなんて、俺嫌だよ。」

真兄…優兄…

「あの先生、生徒にそんなこと言うなんて、失格だね。」

相変わらずの毒舌全開な玲。

「みんな…ありがとう。」

あたし、ここにいてもいいんだ。

家族なんだよ。

今さら気がつくなんて、遅すぎる。

当たり前すぎて気が付かなかったこと。

この家が、この家族がこんなにも大切なもので。

ずっとみんなといたい。
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