一ノ瀬さん家の家庭事情。
時計の針はもうとっくに日付を超えていて。

あたしは急いでキッチンを片付け、お風呂に入り、そーっと自分の部屋へ。

玲は当たり前だけどもう眠っている。

起こすとかなり面倒だから、物音をたてないように布団に入る。

体はつかれているはずなのに、目はギンギンに冴えてる。

あたし、いよいよ告白するんだ…

明日の今頃にはもう結果は決まってるんだ。

浅丘君、どう思うかな。

迷惑だって思わないかな…

そしていろいろ蘇ってくる思い出。

クラスに馴染めなかったあたしに初めて話しかけてくれた。

いつも笑顔で挨拶してくれた。

誰よりもバスケが大好きで、自主練にも筋トレにも熱心で、一生懸命。

クラスで困っている人がいたらいつも助けてあげてて。

優しくて、明るくて、みんなの人気者。

夏休み、一緒に映画に行って。

文化祭、二人でお化け屋敷に入って。

クリスマスは後悔ばっかりになっちゃって。
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