一ノ瀬さん家の家庭事情。
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うふふ、うふふふ…

にやける頬を抑えても口の端が緩んでしまう。

「あーい、顔!締りがないよ!」

そんなほのちゃんの声も耳から通り抜けていく。

まさに馬の耳に念仏状態。

「あ、い!いつまで見てるの!」

「あっ!」

取り上げられたのはあたしの手の中にあった携帯電話。

「あんたまたメール見てニヤニヤしてたの?全く、飽きないんだから!」

「だって!昨日のメール見て!浅丘君が絵文字使ってるんだよ!珍しいことなんだよ!」

いつもは句読点以外記号は使わないのに!

「そんなことで嬉しそうにしないの!本人そこにいるんだから、話しかけてきな!」

そしてドンと背中を押される。

そ、そんないきなり!

だって今はクラスの男子と楽しそうに話してるし、あたしなんかが話しかけたら邪魔しちゃいそうだし…

「もう、焦れったい!聡太!愛が呼んでるから来て!」

ほ、ほのちゃん!?
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