一ノ瀬さん家の家庭事情。
そのメールに絵文字が使ってあった。

学校から一緒に帰った。

帰り道、コンビニで肉まんを一緒に食べた。

授業中、目があったら笑ってくれた。

そんなちょっとしたことで舞い上がってしまうのは、おかしいのかな。

「そうだ、一ノ瀬さ、…今週の日曜日、なにか予定ある?」

あたしの英語のノートを見ながら、下を向いたまま浅丘君が言った一言。

「ないです…」

なんで敬語になっちゃうんだ!

もう、色々おかしいよ!あたし!

「部活も休みだし…その…どこか行かない?」

か、神様!

こ、こ、これは…もしや、もしかして!

「で、デート!?」

「い、一ノ瀬!」

目の前には顔を真っ赤にした浅丘君。

そして周りからのイターイ視線。

「おいおい、お前ら、教室でいちゃつくなよ!」

「見せつけてんなー!聡太!」

ひ、ひえー!!

「一ノ瀬!廊下行こう!」

浅丘君はガタンと大きな音を立てて席を立つとズンズン教室から出て行った。
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