一ノ瀬さん家の家庭事情。
「あーもう、なんでそんなに…っ…はあ…」

やっぱり呆れた!?

どうしよう、呆れられちゃった…

「もう変なこと言わないから…!だからせめて嫌いにならないで…!」

ってあたしはなにをいってるんだ!

「違うって!…嫌いになんかなるわけない。」

そして口元を手で隠しながら言う。

良かった、嫌われたんじゃないかって思った…

「それより、…デートだよ。うん、俺、一ノ瀬、をデートに誘おうとしてる。」

自分で自分に言い聞かせるように浅丘君が言った。

「日曜日、ちょうど付き合って一ヶ月の日だし、バレンタインのお返しも兼ねて…どう?」

そんなの一言で返事だ!

「よろしくお願いします!」

一ノ瀬愛、三月十四日、日曜日、ついについに大好きな人とデートです!



「顔、気持ち悪いんだけど。」

今のあたしにはそんな玲の毒舌もさらっと流せちゃう。

「愛、手元気をつけてね。包丁使ってるんだから。」

優兄は本当に気遣いができる。
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