一ノ瀬さん家の家庭事情。
「優兄、ごめんなさい…」

「だから違うって!俺も教えたいってさっき言ったでしょ。うーん…でも俺、数学は人に教えられるほど得意じゃないんだ。だからそこは真にお願いしたいかも。」

そっ、そんな!

あたしが一番苦手でついていけてないのは数学なのに!

「俺が教えてやるって言ってんだ、有難く思えよ!」

そう言うと、あたしと玲の頭をまたもやぐしゃぐしゃにする。

「俺、理数科目はいい。自分でやるから。」

玲は真兄を睨みつつ、そんなことを言った。

「はあ?教えてもらっとけ!絶対損するぞ!愛なんかに点負けるかもよ?」

おい!

愛なんかってなんだよ!

「じゃあ、優兄、よろしくおねがいします!」

「うん、頑張ろうね。」

何はともあれ、優兄に教えてもらえることになってよかった。

まあ一人いらない人が出てきたけど、確かに真兄は理数科目はすごいできるし、教えてもらって損はないかもね。

よし、テスト頑張って、少しでも自由を獲得する!
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