一ノ瀬さん家の家庭事情。
だから今日は薄い水色のワンピースに白いカーデガン、それにショートブーツ。

そしていつも2つにくくっている髪はハーフアップにしてみた。

変、じゃないよね?

聞きたいけど、こんなこと聞くのおかしいよ。

チラ、と横を見ると浅丘君とバッチリ目があってしまった。

そらすこともできず、そのままとりあえずヘラっと笑う。

ああ、もう!

何やってるんだ、あたしは!

「今日、いつもと髪型違うんだね。初めて見た。」

浅丘君が言う。

「へ、変かな?」

こんな大人っぽい髪型、子供っぽいあたしには似合わない!?

「ううん、…かわいい。それと、それ、付けてくれてるんだね。嬉しい。」

浅丘君が指差したそれ、とはバレンタインデーに浅丘君がくれたもの。

恥ずかしいから帰って開けてと言われたから、部屋まで我慢して。

ラッピングされた袋から出てきたのは白いバレッタ。

ピンクや水色や黄色のキラキラした小さな石が組み込まれていてすごくかわいい。
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