一ノ瀬さん家の家庭事情。
「まあ、わざわざありがとう。…ささ、上がって上がって。」

浅丘君の家は綺麗に片付いていて、うちとは大違い。

壁にはたくさん写真が飾ってある。

小さい頃の浅丘君、すっごく可愛い!

あっちの写真の浅丘君の隣にいるのは、もしかして葉ちゃん?

そういえば二人って幼稚園から一緒なんだっけ?

「おねえちゃん、おにいちゃんの彼女なのー?」

ランドセルを背負った恵海ちゃんの突然の爆弾発言に飲んでいた紅茶を吹き出しそうになった。

「え、恵海!」

隣に座っていた浅丘君も慌てている。

「こら、恵海。」

浅丘君のお母さんが恵海ちゃんをたしなめるように抱き寄せた。

「…ちゃんと紹介、してもいい?」

浅丘君が小さな声であたしに言った。

紹介、してくれるんだ…

すごく嬉しい。

あたしは頷く。

「そうだよ、俺の彼女で同じクラスの一ノ瀬さん。」

その言葉にあたし、浅丘君の彼女なんだってより強く思えて、すごくそれが幸せで。
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