一ノ瀬さん家の家庭事情。
「一ノ瀬さん、聡太は子供っぽいところもあるけど、よろしくお願いします。」

浅丘君のお母さんがペコリと頭を下げるから、あたしも慌てて頭を下げた。

「こ、こちらこそ!」

好きな人の家族に紹介してもらえた。

こんなにも嬉しいことなんだ。

あたしもいつか、紹介したい。

あたしの好きになった人はこんなに素敵な人なんだよって。

まだだいぶ先になりそうだけど…

それから浅丘君のお母さんと恵海ちゃんは買い物に行ってしまい、家にはあたしと浅丘君の二人きりに。

「えっと、…どうする?」

「浅丘君の部屋、見てみたいな…なんて。」

だめかな?

「うん、わかった。俺の部屋、行こう。」

二階に上がり、階段の一番近くにある部屋のドアを浅丘君は開けた。

「入って。」

その部屋にはベッドと机、本棚。

シンプルで綺麗な部屋。

「俺の部屋、何にもないから。つまんないだろ。」

「ううん!すごく綺麗。あたしの部屋なんて…」

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