一ノ瀬さん家の家庭事情。
え…

そんなことがあったの!?

全然知らなかった…

「そのとき律兄も一緒にいて、それからかな、律兄が愛のこと過度に心配するようになったの。」

そうだったんだ…

「まあ、それとは別に愛に好きなやつができたってこと、悔しかったんだろうね。律兄は父親みたいなものになってるから。」

そうなのかな。

お父さんがほとんど帰ってこない家では確かにりっちゃんはお兄ちゃんというよりお父さんみたいな存在。

「にしても、俺もびっくりしたな。ついに愛に彼氏ができたって。」

「優兄は、みいちゃんと付き合ってるんでしょ?」

優兄にだっている、大切な人。

だったらきっと、あたしの気持ちだってわかってくれるはずだよ。

「うん、…みいのこと、俺が思うように愛もその彼氏のこと、大切に思ってるんだよね。」

あたしはゆっくり頷いた。

大切な人だから、だからこそ、あたしの大切な人たちにちゃんと伝えたい。
< 383 / 391 >

この作品をシェア

pagetop