一ノ瀬さん家の家庭事情。
あたしはその後ろ姿に向かって叫んだ。

「浅丘君!ありがとう!…大好き!」

するとキキッとブレーキをかけ、戻ってくる彼。

「…さっき守るって言ったばかりなんだから、あんまり惑わさないでよ。」

赤くなった頬は、きっとあたしも同じ。

夕焼けのせい?

ううん、きっと違う。

そして耳元で言われた、最高に甘い言葉。

「俺も、一ノ瀬が好きだよ。」

そしてまた離れると、軽く手を振って、今度こそ行ってしまった。

好きだって…

あたしのこと、好きでいてくれてる。

ああ、もう!

大好きが止まらない。

「愛、何してんの?」

玄関で呆けてると玲に冷たい目で見られた。

早く明日にならないかな。

もう会いたくなってる。

好きになって気がついたこと。

気がつけばその人のことばかり考えちゃってて、別れたあともすぐに顔が見たくなる。

玲も、はるひちゃんをそんなふうに思ってるんだよね?
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