一ノ瀬さん家の家庭事情。
「あーーいーー!たっだいまーー!」

ガチャッと音がして、リビングにりっちゃんが飛び込んできた。

「愛!勉強してたのか?偉いなー!愛は!」

「ちょっと、りっちゃん!髪の毛がグチャグチャになる!」

りっちゃんの癖、あたしの髪を撫で回すことやめてほしい!

「あ、律兄、おかえり。今日律兄の当番の日だからよろしくね。」

いつの間にかソファに寝そべって漫画を読んでいた玲が言った。

「はいはい、愛は何が食べたい?」

「はい!俺は今日は酢豚が食べたい!」

これまたいつのまにか玲の隣でテレビを見ていた真兄が言った。

「俺は愛に聞いてんの!」

「なんだよ、愛ばっか!愛も酢豚好きじゃん!いいじゃん!な!愛!」

あー、もう。うるさい。

「酢豚でいいよ、酢豚たべたい…」

勉強して疲れたのに、今から言い争いなんてする気力ないもん…

「俺、ピーマンと玉ねぎ嫌い。抜いて。」

「おいバカ!酢豚からピーマンと玉ねぎぬいたらそれは酢豚じゃねえじゃん!」
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