一ノ瀬さん家の家庭事情。
行きたい、すっごく行きたいのやまやまなんだけど、大きな壁が…

「ちょっとお兄ちゃんに聞いてみるね!」

『おっけ!場所は駅前のファミレスだから、もしいいって言われたらまたメールして!』

ほのちゃんからの電話を切ると、あたしは一人で気合を入れた。

よし!

「り、りっちゃーん…あのね、…」

「ん?愛、もうすぐ晩御飯だからなー!今日は律特製の卵スープもあるぞ!愛、好きだったろ?」

うわー!うわー!

言い難い!言いにくすぎる雰囲気作ってくれちゃってるよ!

よし、ならば奥の手だ!

「優兄、あのね…ちょっといい?」

「ん?またわかんないとこあった?」

優兄をこっそり廊下に釣れ出す。

幸い玲と真兄は漫画とテレビに夢中で気がついていない。

「今ね、クラスの子から電話があって…ご飯に誘われたの。行ってもいい?」

「俺に聞くの?」

だってりっちゃんにきいたって即効ダメだって言われるのが目に見えてるんだもん。

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