一ノ瀬さん家の家庭事情。
「じゃあまずはー!この中で彼氏または彼女いる人ー!」

明るくていつもおしゃべりな鳴瀬君が言った。

「はーい!」

手を上げたのは一人だけ。

「ええっ!村尾くん彼女いたの!?」

思わず大きな声で叫んじゃった。

「えー、一ノ瀬ひどー!俺には中学から付き合ってる彼女がいるんですー!」

「ご、ごめんなさい。」

だって村尾くん、いっつもあたしが見るかぎり、不特定多数の女の子がまわりにいるんだもん。

「そういう愛ちゃんは!?彼氏いないの?」

「彼氏なんて生まれてこのかたいたことないですけど?」

「え!!かわいいのに!まあ…うん、真先輩にあんなこと言われちゃったら、みんなビビって下手に告白なんてできねえもんな…」

そう、なのかな?

真兄が何も言わなかったとしても、あたしになんて告白してくる人はいないと思うけど。

「モテるといえば、やっぱこの中じゃダントツ聡太だよね!」

葉ちゃんがニコニコしながら言う。
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