一ノ瀬さん家の家庭事情。
こんな性格悪いやつにどうしてみんな告白するのかな?

ありえないし!

「愛、大丈夫?ほら立てる?制服汚れちゃうよ。」

そう言うと、あたしを優しく抱き起こしてくれた、救世主。

一ノ瀬家三男の同じく高校二年生、一ノ瀬優。

その名のとおり、いつも優しくて穏やかな優兄はあたしにとって一番の味方。

ちなみに真兄とは一卵性双生児の双子だけど、似ているところといえば外見とすっごくモテるってことだけ。

真兄が悪魔ならば、優兄は天使だ。

同じ顔してどうしてこうも違うんだろう。

そして、最後にー…

「今日、うちのクラスの人に呼び出されたよね、何話してたの?愛。」

その瞬間、りっちゃんの顔色がさっと変わった。

「あいいいい!?誰だよ!何を話していたんだ?!」

あたしの肩をガタガタ揺さぶるりっちゃんはもう誰にも止められない。

「どんまい、俺言ってないからな。飯当番はよろしく!」

真兄はそう言ってリビングにさっさと入っていった。
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