一ノ瀬さん家の家庭事情。
真兄ってばほのちゃんとそんな約束を…

あたしにはそんなこと一回だって聞いてくれなかったくせに!

まあ、別にはなから真兄のおみやげには期待なんてしないけどね。

中学の時の京都に行ったおみやげはなぜか木刀だったし…

で、玲には練り香水。

普通逆でしょ!?

しかも玲に交換してもらおうと思ったら、玲はなんだかその香りが気に入っちゃったみたいで拒否されて、結局今でもその木刀を部屋に飾るはめに。

「ほのちゃん、真兄のどこがいいの?」

「そんなの、全部よ!かっこいいし、白黒ハッキリしてて真っ直ぐなとこも、ストレートに物事を言ってくれるとこも、あとね…」

ほのちゃんはにっこり笑って、あたしの耳元で言った。

「家族思いなとこも!」

家族思い?

真兄が?

それはないない!

だって妹のあたし、毎日いじめられてるよ?

被害者だもん!

「まあ、愛にもそのうちわかるよ。真先輩の魅力が!」
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