一ノ瀬さん家の家庭事情。
「一ノ瀬、一人で悩みこむなよ。」

浅丘君があたしの顔を覗きこむ。

ちっ、近い!

途端に心臓がドキドキなり始めた。

…やっぱりこれって、浅丘君が好きってことなのかな。

これが、恋なのかな?

「ありがとう、浅丘君。」

とりあえず今日、ちゃんと玲と話をしてみようかな。

このままモヤモヤしてても意味がない。


「ただいまー…」

家に帰ると、リビングのソファで玲が眠っていた。

無表情な表情から一転、幼い寝顔は小さい頃から変わっていない。

女の子よりも綺麗な透き通るような肌に長くて濃いまつげ。

おなじ双子なのに、あたしと似ていない玲。

玲は何を考えているの?

何を抱えているの?

「…帰ってたの?」

玲の寝顔をじっと見つめてると、急に目を開いた玲。

「ただいま、玲。…今日の晩御飯、どうする?」

「…オムライス食べたい…」

玲はまだ眠たそうに言った。
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