一ノ瀬さん家の家庭事情。
「れーーいーー……」

あたしはその無表情の顔を睨むけど本人はなんであたしが怒ってるのかわかってないみたい。

「なに?」

一ノ瀬家の四男、ボーッとしてて何を考えてるのかよくわからない、でも感だけはすごく鋭い。

あたし、一ノ瀬愛の二卵性双生児の双子の兄、一ノ瀬玲。

まだあどけなさが残るその顔はすでに兄達の素敵な遺伝子を受け継いでいる。

双子の妹であるあたしが何回告白の仲介をしたかは数えられないほどだ。

基本静かで無口だけど、たまにこうやって空気の読めない発言をするのがキズ。

以上、あたしの普通じゃない最大の悩みごと。

それはこの個性豊かな兄達に毎日毎日振り回されてるってことだ。

海外赴任中のパパ、一ノ瀬大地にかわってあたしたちの身の回りの世話をしてくれるのはりっちゃん。

そして交通事故であたしが生まれてすぐに亡くなったママの一ノ瀬幸。

一ノ瀬家は少子化の現代には珍しい、七人の大家族。
< 7 / 391 >

この作品をシェア

pagetop