一ノ瀬さん家の家庭事情。
「たっだいまー!遅くなってごめんな!愛!玲!」

やたらテンションの高いりっちゃんが帰ってきたのは十一時前。

その頃にはもうお風呂も二人とも入っていて、涙の跡も消えていた。

「おかえり、りっちゃん。」

「律兄、うるさい。」

大丈夫。

普通に出来てる?

変じゃない?

「そうだ!明後日父さんが帰ってくるって!明日には優と真も帰ってくるし、久しぶりに家族みんな揃うな!」

お父さん…

どんな顔して会えばいいの?

「そうだね、俺もう寝る。愛、部屋行こ。」

玲はあたしの手をひいてリビングから出て行った。

「れ、玲?今の変に思われなかったかな。」

部屋に入ると、玲は二段ベッドの縁に腰掛けた。

「明後日、父さんが帰ってきた時に聞く。俺達のこと。ちゃんと真実が知りたい。愛だってそうでしょ?」

あたしたちの、本当のこと。

お父さんなら知っている。

「…知るの、少し怖いんだ…」
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