一ノ瀬さん家の家庭事情。
だけど、あたしだって知りたい。

「本当のこと、聞きたい。」

玲を見てそう言うと、玲は頷いた。

「…でもさ、…今さら双子じゃないとか言われてもってかんじだよね。俺達、似てるってクラスとかで言われるし。」

その言葉に、胸の奥が熱くなってくる。

そうだよ、たとえ本当に双子じゃなくても、あたしたちは生まれた時からずっといっしょに育ってきたんだ。

何をするのも一緒だったんだ。


「愛、昨日は大丈夫だったの?」

次の日、学校に行くとほのちゃんがあたしの席にやってきた。

「うん、もう大丈夫だよ!心配かけてごめんね。」

「ぜったいに辛かったら言うのよ!約束!ね!」

そう言って指切りまでするほのちゃん。

この高校にはいって、ほのちゃんと出会えてよかった。

すごく、すごくそう思ったの。

「一ノ瀬、これあげる。」

お弁当を食べていたあたしの頭の上になにかひやりとしたものが置かれた。

顔を上げると、そこにはいつもの爽やかな笑顔を浮かべた浅丘君。
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