一ノ瀬さん家の家庭事情。
そのストラップを大切そうにまたかばんにしまうほのちゃんの横顔は本当にかわいい乙女。

「つけないの?携帯とかに。」

「だって失くしちゃったりしたらやだもん!これは生涯のたからものでしょー!」

そんなにも真兄のことが好きなんだね。

「ほのちゃん、告白しないの?」

あたしがそう言うと、ほのちゃんは持っていた消臭スプレーをカラカランと床に落とした。

「だってもし振られちゃったら?あたし、同じ部活でやっていく自信ないよ…それに、もう愛の家に遊びに行けないよ…」

美人で、優しくてしっかりもので、いつも完璧なほのちゃん。

そんなほのちゃんでも、やっぱり告白するのは勇気がいるんだ。

でも真兄も結構ほのちゃんに気があるような気がするのはあたしの気のせい?

だって真兄は今までに数えきれないほどの女の子に告白されてきて、そのうちの何人かと付き合ったけどすぐに別れていた。

自分から告白したことないって言っていたっけ。
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