一ノ瀬さん家の家庭事情。
神様、どうか!

普段あたし、悪魔ブラザーズと戦ってるんですよ?

少しくらい、お慈悲をください!

そう願いながら、くじを引いた。

「俺、21番だった!聡太は?」

人気者の浅丘君の周りにはもう男子の人だかり。

まわりにいる女子も浅丘君の席がどこになったのか気になってるみたい。

あたしもそのうちの一人で、聞き耳を立てる。

「15番。窓際の列の、後ろから二番目。」

じゅ、15番!

あたしが引いたのは…

そっと手のひらの上の紙をひらいてみる。

…8番

最悪、めちゃくちゃ離れてる上に、死角の位置だからどう見たって席から浅丘君が見れない!

「愛、何番だった?…って顔が死んでる!」

ほのちゃんはクジの紙をヒラヒラさせながらあたしの席にやってきた。

「ほのちゃーん…浅丘君と離れちゃった…」

するとほのちゃん、ニヤリと笑った。

「はーん、これで認めたわね。はい、愛は聡太のことが好き!間違いない、恋だわ!」
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