一ノ瀬さん家の家庭事情。
人は見た目で判断しちゃダメだって言うけど、入学式の時から目立ってたこの人。

同じクラスになったときはなるべく関わらないようにしようって思ってた。

授業もあまりちゃんと出てないし、うちの学校は進学校のわりにいくら校則がゆるめだからといってこんなに堂々とピアスなんて開けてる人、他にいないもん!

「何見てんだよ。」

鋭い目つきでぎんっと睨まれたあたしはまさに蛇に睨まれたカエル。

「ご、ごめんなさいっ!」

慌てて顔をそらす。

えっと、名前なんだっけ…

たしか…久住優大君、だっけ。

怖くて隣向けないよ!

神様は意地悪だ!



「はあ…」

部活の時間になってもあたしの口からはため息ばかり。

「愛ちゃん、元気ないね!どうかしたの?」

今日も明るい葉ちゃんはなんだか天使に見えて。

「聞いてよ、葉ちゃん!」

あたしは葉ちゃんにその席替え事件の一件を話した。
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