あなたに伝えたいこと


1日目のスケジュールは、昼食を食べ、寺に行き、旅館へという流れだ。



バスの中。


レクレーションで歌を歌うことになった。

ノリの良い男子や女子だけが歌うため、レクレーション係長である冬馬がある提案をした。


「端から歌ってこう!!」


端というと、私にあたる。

私は、歌は下手だし、それを人前でなんて…
(無理だよ…。)


それを見ていたのか、悠樹が冬馬に言った。

「時間もあんまないし、2人ずつでよくね??」


そういわれ、冬馬が

「じゃ、そんな感じでよろしく!!」


と皆に伝えた。


「じゃ、俺らは…これにする??」


と、皆が知っているようなJ-popにした。


悠樹に歌を先導してもらい、なんとか終わった。


「ありがと…」


「いやいや、俺が1人で歌いたくなかっただけだって。」

そう言って笑った。


知っている。それが私の為の嘘だって。

今日は、悠樹に救われてばかりいる。


次々と歌い終わり、龍斗に回ってきた。

「皆!!盛り上がろうぜ!!Fuー!!」


龍斗は周りの空気を一気に包み込んだ。

男子は盛り上がり、女子は龍斗の歌声に耳を澄ませていた。

「龍斗って、昔から歌は結構うまいんだよね…」

誰に言うでもなく呟いたのだが、悠樹が応えてくれた。


「そうなんだ…確かに、きれいだね。」


悠樹の顔を見たとき。


悠樹と視線が合った。

「あのさ…」


「ん??」
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