あなたに伝えたいこと
俺は、目を覚ました。
とんだ悪夢…いや、中盤まではいい夢だったのだが…
「ん…?」
俺の目が冴えてきたときだ。
信じられない光景が飛び込んできた。
(はっ…!? 肩ズンっ…!!)
奈美が悠樹の肩に肩ズンしていたのだ。
(おいおいおい、奈美!!起きろよ!!)
どうすればいいか考えた結果、あまりやりたくはなかったが、奈美の頭にデコピンした。
「…いったぁ…」
そのとき、俺は、少し安心した。
「ちょ、龍斗!!やめてよ!!せっかく寝てたのに…」
「お前の顔が不細工過ぎて、悠樹が起きた時に悲鳴でもあげたらどうすんだよ!」
奈美は、その言葉を聞き、やっと自分が悠樹に寄りかかっていたことがわかったみたいだった。
「嘘っ…ごめん!!」
悠樹は寝ているみたいだ。
×悠樹×
(寝れるわけねーよ…)
とりあえず、目は閉じていたが、最初は本当に寝ていたのだ。
だが、途中でシャンプーか石鹸のいい香りがしてきて、目が覚めてしまった。
(えっ…ちょっ…)
そこで、ようやく事態を確認できた。
奈美が俺の肩に頭を預けていたのだ。
(いやいや、これはさすがに…)
嬉しい。
それは嬉しい以外、何でもないが、緊張してしまい、俺は、微動だにできなくなった。
(…寝顔…)
こんな近くで寝顔がみれるなんて…しかも、アングルもアングルで、めっちゃかわいく見える。
俺は、そのまま寝たフリ続行。
奈美の頭に自分の頭を付けた。
(神様…許して下さい。)
そう思ったとき、隣からペチンッという音がきこえた。
やはり、束の間の夢だったようだ。