あなたに伝えたいこと
×悠樹×
「あ~眠いなぁ…」
龍斗が声をかけてきた。
「寝てただろ。」
そういって笑った。
龍斗とは仲がいい方だとは思う。
今年、初めて同じクラスになったが、龍斗は意外にも喋りかけてくれる。
俺は内向的なのだが、人によって違う。
喋りやすそうな人とは喋れるが、俺の苦手なタイプとは喋れない。
「なんだよ、奈美に肩ズンされて、喜んでんのかよ。」
笑いながらきいてきた。
笑っていても、龍斗は俺に嫌悪感を感じているのかもしれない。
「そりゃ、女子にやられたら…なぁ。」
俺もそういって笑った。
「おいおい、悠樹…お前、そんなキャラだっけ?あ、そういやぁさ、話変わるけど…」
色々な話題を出してくれる。
予想に過ぎないがこんな仲良くしてくれる人と好きな人が被ってるなんて…
「ん、聞いてる?」
龍斗が聞いてきて、少しびっくりした。
考え事をしているときにいきなり聞いてくると…心臓に悪い。
眼鏡をクイッとやって答えた。
「あ、ごめん…。なんだっけ。」
「だぁかぁら、何か前、あいつが怒ってたから何か知ってるかなぁ…的な?」
そういえば、俺が教科書忘れたとき…なんでだろう。
俺にもわからない。
「さぁ。っていうか、何、龍斗って小堺さんの話しかしなくない?」
「んなことねぇよ!」
ここで肯定されてたら…何聞いてんだろうな、俺。
「ほら、行こうぜ!」
他にも男子はたくさんいるのに、龍斗は俺に優しくしてくれる。
「うん、行こう!!」
そのついでと言ったらなんだが、龍斗は、右腕を俺。左腕を冬馬の肩に乗せた。
「なんで俺も…てか、龍斗、俺だけ後ろ向きなんだが!」
冬馬は、ヨタヨタしながら後ろへ下がっていた。
「あ、あそこに奈美と美花いるぞ。写真撮りそう。俺らも内緒で入っちゃおうぜ。」
「3、2、1…」
パシャッ
俺らも内緒で入ることに成功したようだ。
龍斗の空気にはいやすい。
これからも仲良くしていられるのだろうか。
そんな不安をいだきつつ、鹿せんべいを受け取った。