あなたに伝えたいこと


色々周り、やっとのことで旅館へ着いた。

「ようこそ、おいでやす。」

京都の訛りが強い女将さんや、はっぴを着た男の人が数人で迎えてくれた。

男子は2階3階女子は4階5階だった。

各自部屋に入ると、荷物を置き、腰を下ろした。
ここは、4階。階段の前の部屋。


「うわぁ、なにこれ。めっちゃ旨そうなんだけど。」

「え、肉多くね??」

同じ部屋の女子が夕飯をみて、テンションが上がっている。


「次は…夕飯じゃん、はやく用意しよぉー」


一人の子が言うと、同調して他の子が動きだす。
私は、1人、5階へ上がった。

前のクラスで仲の良かった、『入江さえ』という子に会いに行った。


「失礼しまぁす」

私が一言そういうと7人いる中の7人がパッと振り向いた。

「よっす!奈美!」


さえが、声をかけてきた。


「やっ!!ちょっと暇だったからきたー」

「準備は?」


そこを突っ込まれるとなにも言えない。

「んまぁ…大丈夫だよ。うん。」


そのあと少し居座った。

笑い転げていたときだ。

「奈美!!こんなところにいた!もう!!皆待ってるよ?」


美花が呼びにきた。

「あっ、やっべ。ごめんね!失礼しました!」


「待ったねー!!」

さえの声を後ろに駆け足で階段を下りた。

「奈美!遅い!何してんの?」

女子が次々と口にする。

「ごめん!本当にごめん!!」


私が謝っているのを横目に、『ま、来たし、食べよ食べよー』と食べ始めた。


こういうところが、いいとこなのか悪いとこなのかわからない。


「ほら、奈美も突っ立ってないで、食べよーよー」


美花が私の手を引っ張り、座らせた。



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