あなたに伝えたいこと
×悠樹×
「めっちゃ旅館なんだけど!!匂いが旅館!!」
意味のわからないことを言って騒いでいる冬馬を後ろに軽く旅館の人に挨拶して、みんなで階段を上っていく。
男子は2階3階だが、俺は3階だった。運良く、部屋決めを仲のいい男子が俺と冬馬と龍斗を一緒の部屋にしてくれた。
「うっしゃっ!!めっちゃ肉あんじゃん!」
「後で女子からもらいに行こーぜ!」
部屋に入るなり、騒ぎ声が増した。
俺の部屋は階段を上って右に曲がり、突き当たりを左に曲がった所だ。
「飯食おーぜー!!」
「うぇーい!!」
先生が来てからという話だったのに、次々に食べ始めた。
俺は、ハンガーに皺のつかないように、ブレザーやYシャツをかけ始めた。
「おい、悠樹!お前も食べろよ!」
冬馬が声をかけてきた。
他のやつは、『お前は女子かっ』と突っ込んでいる。
「いや、まだ先生来てないし…かけとかないとな、明日ヤバイだろ。」
皆が声を揃えて『…やべぇ…』と言った。
「そういやぁさ、龍斗のやつは?」
さっきから龍斗の姿が見えなくなっていた。
「ったく…呼びに言ってくるわ。」
俺はハンガーをかけ、扉をしめ、探しにでた。
大体見当はついている。
「失礼するよ。はぁ、やっぱり…」
下に降りて、突き当たりの部屋に入ると、龍斗は男子に囲まれて、笑い転げていた。
「ん?よぉー!悠樹!」
はぁ…さすが龍斗。どこにいても楽しそうだな。
「ほら、皆もう食べてるよ。行こーぜ。」
龍斗は勢いをつけて飛び起きた。
「おー!!」