あなたに伝えたいこと


『俺のこと…好き?』


…一瞬、何が起きたのかわからなかった。



ドンっ…!!



「っ…!」



私は、龍斗を突き飛ばしていた。


「痛っ…なにすんだよ…」



数歩後退りして、そうきいてきた。


「いや、だって…いきなりそんなことするから…反射みたいな?」


恐怖とかはないけれど、脈拍が先程よりもあがっていることがわかる。

しばらく沈黙が続く。


私は…


「…ごめん。俺熱あるみたいだ。本当にごめんな…」


そう言って私の頭を軽くポンポンと叩いた。

龍斗はそのままうつ向きながら階段を下りていった。



「…なんなんだよ…バカ龍斗。タイミングとか考えっ…」



訳がわからず、涙が出てきた。




×龍斗×



(ったく!!何してんだよ!!)


どこにもぶつけられない自分への怒りが限界に達した。


ペチンっ!!



硬い壁に拳をぶつけたら、想像以上に痛かった。


「ってぇ~…」



声にならない声で呟いた。



霞の間に向かうと、皆が反省を書いていた。


「おせぇよ、龍斗!何してたんだよ!!」



周りの男子の声にイラつきを覚えた。


「うっせぇよ。」


「んだよ…何かあった?」


「何もねぇよ!!」




×悠樹×


(龍斗…奈美がいない。何かあったのか…)



「先生、トイレ行ってきます!!」



そう言って俺は霞の間を抜け出した。





< 29 / 29 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

観覧教室

総文字数/3,663

その他13ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop