あなたに伝えたいこと
悠樹とは席が隣だった。
悠樹はフレンドリーで、私にも優しく、明るく話しかけてくれた。
「今週の金曜日にやるアニメ、本当面白いから!絶対みてよ!」
「わかった。悠樹君って、アニメとか好きな人?」
こんな何気ない会話だ。
それでも、楽しかった。
「好きだよ!小堺さんは?」
「私も好き!」
この好きが、アニメのことでは無い気までしてきた。
そんなことで、1週間が経ったのだ。
「奈美ぃ!聞いてよぉ~」
それは、美花だった。
「どうしたの?またあれ?」
あれとは、いわゆる、恋の病だ。
「そうだよ…あの人とクラス離れちゃって、何も話せないよぉ~」
美花の好きな人は、私の幼なじみの
黒崎 龍斗(くろさき りゅうと)だ。
確かに顔立ちもよく、優しく、スポーツもでき…そこそこモテる。
テニス部員で、部長だったりする。
私の大親友。美花と同じくらい。
「でも、また、修学旅行で会うでしょ?」
私は、恋愛相談にのれるほど詳しくない。
「そうだけど…はるちゃんのこともあるし。」
「はるは、しょうがないよ。でも、はると美花は違うでしょ?」
春は、私の前のクラスメイト。終業式の日に告白したのだが、とてつもないフラれ方をした。
春は、その龍斗を体育館に呼び出した。
だが、龍斗は来なかった。
そのあと、龍斗からこんな内容を伝えてほしいと私は頼まれた。
「まじめに無理。」
これを私に伝えてほしいと言ったのだ。
そんな龍斗をなぜ好きになるのか訳がわからない。
「だから…あれは、あいつが機嫌悪かっただけだって。大丈夫だよ。」
「奈美は元々仲いいから…」
よく言われる。それで、軽く外されたこともある。
そして、友達を失った。
「美花…私は別に、龍斗のことそういう目で見てないから。とにかく、頑張って…」
それしか言えなかった。
「…よし!決めた!私、修学旅行の最終日に告白するよ!」
何故そうなったのだろう。
まぁ、頑張ってとは言ったが、フラれた時のことを考えると怖かった。
でも…
「それが、美花の考えなら止めないよ。応援してる。」
「ありがとっ!」