All I have to give
「そして、イイオトコは持ってんだよ」
「……っ?!」
再びハルがリビングに入ってきた。
絆創膏をぴらぴらとさせながら。
「ほら、そこ座れ」
「うわっ…ちょっ…」
ダイニングテーブルの上に座らせられ、抵抗するもハルは強引に私の足を掴んだ。
「………」
かあーっと顔が熱くなる。絆創膏を貼ってくれるハルなんて…
バチっと視線が絡み合った。
「…りがと」
なんでこんなに意識しちゃうんだろう…。
ハルなんて、異性として見られる立場ではない。
「お前が素直なの、珍しいじゃん」
ダメだって分かってる。
ハルの事、何も知らないけれど。
こうして私の目の前にいるハルは、紛れもなく私だけが知ってるハルだって…
私、何考えているんだろう…
そんな二人きりの空間を裂くように、突然インターホンが鳴った。
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