All I have to give
それから数日が経った。
いつも通りの日々が始まり、ハルは相変わらず仕事が忙しいみたいだ。
日付が変わってから帰宅することも増えてきた。
喉が痛いなぁ…くらいにしか思っていなかったが、どうやら風邪をひいてしまったみたいで。
これから夕飯を作らなきゃいけないって時に、クラクラと目眩が襲った。
どうしよう…
この前、ソファで寝ちゃったのがまずかったのか。
ハルの分の夕飯だけでも作っておかなきゃ…。
少しだけ落ち着きを取り戻して、手早く料理を始める。けれど、どうしても頭の痛みが立っていることさえ辛くしてしまう。
私は倒れるようにして、リビングのソファへ身体を投げた。
…
…
きっと、ハルに怒られるだろうなぁ。
「…おい!ユナ?どうした?」
ハルの声が聞こえる。朦朧とする意識の中で、おでこに手が当てられた。
「熱があんじゃねぇかよ…」
「ハル…」
ハルは私を抱き上げると、部屋のベッドへと寝かせてくれた。
「無理すんなよ」
ハルにしては、珍しく戸惑っている。私はそのまま瞳を閉じた。寝て起きればきっと…
「バーカ…」
ハルがどんな顔で、どんな気持ちで言ったのかは分からないけれど。
意識を手放す直前に聞こえた声は、すごく心地よくて優しいものだった…―――
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