All I have to give
「悠斗、買ってきたよ…って、あんた寝てなくていいの?」
「あ?あぁ、サンキュ。いや、俺じゃねんだわ」
リビングにひょっこり顔を出したのは、瑠美だ。情けないが、こんな時誰を頼っていいか分からず電話した相手が瑠美で…。
「……どういう事?」
それを聞いて、やっぱり眉間にシワを寄せて俺を睨んだ。機嫌が悪くなるのは分かっていたが…。
「この有り様」
俺は既にお手上げ状態。
辛うじて出来たことは、タオルを冷やしてユナの額に乗せたことだ。
キッチン回りはゴチャゴチャ。お粥とやらを作ろうとしたが、無理だった。
「……とにかく、コレ。この時間に開いてるドラッグストア探すの大変だったんだから」
「悪りぃな…」
瑠美から袋を受け取ると、薬や冷却シート、栄養ドリンクが入っていた。
長い髪をひとつに束ねて、キッチンへ立つ瑠美は、あからさまに溜息を吐いた。
「出来ないことをするからこうなるのよ」
「じゃ、頼んだわ」
「もう…久しぶりに連絡来たかと思ったら…」
ブツブツ言いながらもやってくれるのが瑠美だ。
大学時代の時からの友人であり、時々夜の相手でもある。
後腐れない瑠美の性格が好きで、楽だった。
.