All I have to give
瑠美の事は人として好きだけれど。
何度抱いても瑠美を愛することが出来ない。
それを知っているのに、瑠美は俺から離れようとしない。
俺の心にはいつだって…
「悠斗、できたよ」
「サンキュ」
瑠美はお粥を茶碗に盛って、カウンターへ置いた。
「新しい女でもできたの?」
「そんなんじゃねぇよ…」
「ふぅん…じゃ、あたし帰る」
瑠美は髪をほどいて、手櫛で整えながらバッグを持つ。
『泊まっていけよ』て、いつもなら言うけれど…。
きっと瑠美は部屋の向こうに、女がいることを察している。
「カノジョ、お大事にね」
「ありがとな」
日和がいなくなったあの日から、俺は誰かを傷付けてばかり。
代わりなんて、いないって分かっている。
「…似てる、んだよ…お前」
すやすやと眠るユナの部屋に、お粥を置いて。
タオルの代わりに冷却シートを貼った。
ユナを俺の側に置いたのは、日和に似ているからだって知ったら…
お前はそれでもここにいる?
ここが、帰る場所だって思えるのだろうか…
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